恋愛関係が長続きするために重要なのは不満よりも「好きな気持ち」であるという研究結果
以前、異性に対して感じるネガティブな感情と関係の満足感の関係について調べた研究を紹介しました。
しかし、関係の満足度にはネガティブな感情よりもポジティブな感情が大事であると思われます。
というわけで、「ポジティブな感情」「ネガティブな感情」そして「関係満足度」の関係を調べた研究を紹介します。
調査内容
263名に調査した内容は
・交際相手との関係性
「恋人」「片思い」「異性の友人」
・関係満足感、関係の継続意思
・その人に対する感情
情熱「好き」「かわいいと感じる」「いとおしい」「幸せ」など
親和不満「辛い」「悲しい」「不安」「自己嫌悪」など
尊敬・信頼「頼っている」「尊敬」「信頼している」など
攻撃・拒否「うっとうしい」「面倒」「困る」など
といった感じ。
調査の結果
感情
異性の友人群のみ、女性より男性のほうが「情熱」を感じていた
片思いと異性の友人よりも恋人のほうが尊敬・信頼を感じていた。
異性の友人よりも恋人のほうが攻撃・拒否を感じていた。
親和不満感情の強さ
- 女性のみ、片思い>恋人>異性の友人
- 片思いでは、男性<女性
付き合っていない異性の友人だと、男性の方が「好き」「かわいい」といった感情を感じているというのは、男性の方が恋愛と友情を一緒にしやすいという先行研究の結果とも一致するところ。
また、親和不満感情(仲の良さといった関係性への不満)でみると片思いの女性の不満は半端ないため、逆にいうと片思いの女性は意中の人からの甘い言葉に騙されやすくもてあそばれやすい
といったことも言えるんじゃないかと思いました。
感情と関係評価
続いて、感情と関係の満足度や継続の気持ちなどの関連を調べました!
全体評価
- 「尊敬・信頼」を感じるほど、関係満足感が高い
- 「攻撃・拒否」を感じないほど、関係満足感が高い
- 「情熱」を感じるほど、関係継続意思が高い
- 「攻撃・拒否」を感じないほど、関係継続意思が高い
当然、ポジティブな感情を感じほど
ネガティブな感情を感じないほど
関係の満足度も継続の気持ちも高いというわけでした。
関係別の評価の違い
続いて関係別の感情と関係評価の関連を調べました。
- 恋人は「情熱」を感じるほど、関係継続意思が高い
- 片思いは「親和不満」を感じないほど「関係満足感」と「関係継続意思」が高い
- 異性の友人は「尊敬・信頼」を感じるほど、「関係満足感」と「関係継続意思」が高い
- 異性の友人は「親和不満感情」を感じないほど「関係満足感」が高い
恋人関係継続にとって重要なのは「好き」「愛おしい」という気持ち。
それに対して片思いの人、異性の友人では不満の感情が大切という結果です。
つまり!
恋人は好きな気持ちの大きさ
片思い、友達は不満の少なさ
が関係の満足度、関係の継続の気持ちに重要だという結果。
「恋人には不満がある。だけど別れたいわけじゃない。そんなどうしていいかわからない気持ちに悩んでしまう。」
でもそれは恋だからこその当然の気持ちです。
友人関係などの他の人間関係と比較すると不満が気になってしまうかもしれません。
それでもカップルは不満についてよりも「好きな気持ち」を大切にした方が2人の関係が長く続くためには重要なのです。
研究者の考察
ちなみに以上の結果を踏まえて研究者は
異性の友人との交際では、優れた能力や性格を有し、尊敬や信頼の対象となる人物であるかという点から関係を評価すると考えられる。
片思い人との交際では相手に近づきたいという欲求が高いために情熱感情を感じやすい。しかし、相手から情熱感情の見返りが期待できないために、親和不満感情も感じやすい。見返りがない状態が続き、親和不満感情を多く感じると、関係に対する評価が低下すると考えられる
恋人は片思いの人と異なり、自分からの情熱感情に対応して相手からも情熱感情を受けることが期待できる。そのため、自分も情熱感情を感じるほど、関係を継続する意思が強くなると推測される。また、恋人は他の関係性に比べ相互作用を多く経験する。そのため、他の関係性と異なり、相互作用の少なさによって生じる親和不満感情よりも相手からの過剰な干渉によって生じる攻撃・拒否感情のほうが関係評価に強い影響を与えると考えられる。
と述べていました!
まとめ
・異性の友人では男性の方が好き、かわいいといった情熱の気持ちが強かった
・片思いの女性の不満はめちゃ強い
・ポジティブな感情を感じるほど、ネガティブな感情を感じないほど関係は満足度高く長続き
・恋人は好きな気持ちの大きさ、片思いと異性の友達は不満の少なさが長続きには重要。
参考文献
立脇洋介(2007).異性交際中の感情と相手との関係性