結婚が難しくなって、減った理由は結婚を「損得」で考えるからだという研究結果
恋人がほしい、恋愛がしたいという若者が減少しているという話をよく聞きます。
以前紹介した研究ではそうした若者が20%程度もいるという結果が出ていました。
しかし、18歳~34歳までを調査した国立社会保障・人口問題研究所の2015年の研究では若者の9割は結婚を望んでいることが明らかになっているのです。
というわけで、
【恋人を欲しいと思わない若者は増えているが彼らの結婚観、願望はどうなっているのか】
を中心に調査した研究を紹介します。
研究概要
和光大学の中村悠里恵氏の2018年の研究で
大学生・短大生1864名を対象に調査を行いました。
調査の内容は、
結婚観、結婚願望、自分が結婚する可能性はどのくらいだと思うか、現在恋人がいるか、恋人がほしいか等
そして様々な分析で
結婚願望は何で決まるか?
恋人を不要と考える人の結婚願望?
を明らかにしています。
現在の恋愛状況
現在の恋愛状況の内訳はこうなりました。
30.8%:現在恋愛をしている
47.9%:恋愛をしたいが、恋人はいない
21.2%:恋愛不要、恋愛に興味がない
以前の研究でも恋愛不要グループは2割だったことを考えると信頼できそうな結果ですな。
結婚観の分類
続いて、結婚は何のためにするか、結婚とはどういったものかという結婚観は7タイプに分類することができました。
- 社会からの信用の獲得
- 活動の自由の喪失(自由な時間やお金が浪費されてしまうこと)
- 家族形成の予期(結婚をすることで家庭をもつことができるということ」
- 経済的な安定の獲得
- 頼る人の存在
- 幸福感の獲得
- 異性交遊の困難さ(制限がかかり、異性交際が自由にできなくなること)
恋愛不要理由の分類
恋愛を要らないと思う理由は6タイプに分類できました。
- 負担回避(自分の時間が減る、お金がかかるなど)
- 充実生活(すでに生活が楽しい、充実している)
- ひきずり(まだ過去の失恋を引きずっている)
- 意義不明(する意味が分からない)
- 楽観(そのうちできる)
- 自信なし(異性に対する自信がない)
これらは1つ7点満点の質問で回答してもらっています。
そしてその点数を分析したところ以下のような結果になりました。
結婚願望は何で決まるか??
結婚観と結婚願望の関連
- 全てのグループで「幸福感の獲得」が高いと結婚願望、結婚可能性が高くなる
- 恋愛したい、恋愛不要グループで「活動自由の喪失」が高くなると結婚願望・結婚可能性が低くなる
- 恋愛したい、恋愛不要グループで「異性交遊の困難」が高いと結婚可能性が低くなる
「恋愛したいグループと不要グループの違い」
「家族形成」の得点が高いとき
- 恋愛したいグループは結婚願望が高くなる
- 恋愛不要グループは結婚可能性が低くなる
これについて研究者は
結婚することで幸福になれると思っていたり,恋愛よりも結婚のほうが面倒がないと考えていると,結婚願望や結婚可能性が高まると推察される。一方で,他の異性と遊ぶことや,子どもに固執していると,結婚願望や結婚可能性が下がると考えられる。
と述べていました。
恋愛に興味がないことは、結婚願望にどう影響するか
恋愛不要グループが
「恋愛を必要ない」と考える理由が「結婚観」に影響を与えて、最終的に「結婚願望・結婚可能性」までに与える影響についても分析しました。
- 「負担回避」と「充実生活」は「活動自由の喪失」を通して結婚願望・結婚可能性を低めていた。
- 「意義不明」は「幸福感の獲得」を通して結婚願望・結婚可能性を低めていた。
- 「楽観」は「幸福感の獲得」を通して結婚願望・結婚可能性を高めていた。
- 「楽観」は「異性交遊の困難」を通して結婚可能性だけを高めていた。
これについて、研究者は
恋愛が面倒であったり,今は充実しているから恋人は要らないと思っていると,結婚のほうが自由度が高いと思いつつ,負担になることは避けたいと考え,結婚願望や結婚可能性を下げると考えられる。一方,将来的に恋愛をできると思っていると,結婚に対してもポジティブに捉えており,また周囲にコミュニケーションをとれる異性もいるため,結婚願望や結婚可能性を高めることが推察される。この考えに該当する青年が,「恋愛はしたくないけど結婚はしたい」と思っている青年であると考えられる。
と述べていました。
まとめ
恋愛観と結婚願望
・結婚をすると幸せになると考えていると結婚願望、結婚可能性が高くなる
・家庭がほしいと思っているとき、恋愛をしたい人のみ結婚願望が高くなる
・自由がなくなる、遊べなくなるものと考えると結婚願望・結婚可能性が低くなる
恋愛不要理由と結婚願望
・恋愛を負担だと考えていたり、既に充実しているから恋愛はいらない、恋愛をする意味が分からないという人は結婚願望・結婚可能性が低くなる
・楽観的に、いつか恋人ができるでしょと思っている人は結婚願望と結婚可能性が高い
研究者はまとめとして
結婚に対して損得を考えると結婚に対する欲求や結婚できるかという 認識が下がってしまうことが考えられる。そのため,損得を考えず,結婚をすることで得られる幸福に目を向けることが結婚を考える上で重要であると推察される
と述べていました。
なんか文明の進歩の代償って感じの寂しい結果です(>_<)
この結果を見ると
結婚て意味ある?とか言ってないで、
「結婚したら幸せになれる」って考えられた
僕ら(20代)の親世代(50〜60代)が結婚する人が多かったのは当然ですな
しかも、その方が幸せだったのかもしれませんね。。。。
ちなみに僕は結婚したら幸せになれる派、
超結婚したいマンなので結婚願望めちゃめちゃあります(๑・̑◡・̑๑)
参考文献
中村悠里恵(2018)大学生における結婚観と結婚願望・結婚可能性との関連―恋愛状況に着目してー 日本青年心理学会 第26回大会,64-67