恋愛に興味がない人の特徴は無気力で、充実感を感じられていないことって研究
恋愛に興味がない大学生
恋愛に興味ないという人が最近多い印象があります。ですが、恋愛をすることで、安心感や充実感、幸せな気分になれたり、癒しや頑張るかてになる関係であることも多いと思います。だから「恋愛に興味がないなんて信じられない」という人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は恋愛に興味がない大学生とアイデンティティや精神的健康などとの関連を調査した研究をご紹介します。
和光大学の講師である高坂氏の2011年の研究
この研究はかなり規模がでかくて、北海道、関東、東海、中部、四国の4年生男女共学の14の大学に通う1350名に調査しています。
この1350名を3つのグループに分類!
恋人がいる「恋愛グループ」
恋人がいないけど欲しい「恋愛希求グループ」
恋人がいないし、ほしくない「恋愛不要グループ」
その結果、恋人がほしいと思わない割合は男女の差もなく18%でした。
二割近くの人は恋愛に興味ないなんて、思ったより多いな…
逆に「自分は恋愛に興味ない」という人は、もう少数派ではないというわけですな。
アイデンティティとの関連
この研究ではアイデンティティと3グループの関係を分析しています。
しかし結果の前にまずはアイデンティティについて簡単に説明!
アイデンティティとは
ざっくりいうと「自分が自分であるということ」みたいな感じで、以下の4つの概念から成り立っています。
①「自己斉一性(自分は前から今までずっと同じ自分だ)」→「ずっと同じ自分感覚」
②「対自的同一性(自分が何をしたいか、自分がどこに向かっているかわかっている)」
→「方向はっきり感覚」
③「対他的同一性(他の人から見られている自分と自分が思っている自分が一致している感覚)」
→「自他ともに同じ自分感覚」
④「心理社会的同一性(自分と社会とつながりがあり適応しているという感覚)」
→「社会適応感覚」
ううん、、、、何とも難しいですね(笑)
なんとなくわかってくれれば大丈夫だと思います!
「→」の後ろに簡単にした名前をつけたもので調査の結果を説明をします。
結果
恋愛グループのほうが恋愛不要グループよりも「ずっと同じ自分感覚」が高く
恋愛グループ、恋愛希求グループのほうが恋愛不要グループより「自他ともに同じ自分感覚」が高かった
男子だけ「社会適応感覚」では恋愛グループ>恋愛希求グループ>恋愛不要グループのようになっていた
つまりこの結果から恋愛グループがもっともアイデンティティが確立していて、恋愛不要グループでは確立の程度が低いことがわかりました。
アイデンティティが確立していないから悪い!というものでもないのですが
アイデンティティ感覚、とくに「自他ともに同じ自分感覚」が低いことで
他の人が見ている自分と自分が思っている自分が違うというのは「本当の自分をわかってもらえていない」という感覚につながって、
異性と親密になろうとする気持ちが抑制されているのかもしれません。
精神的健康
「抑うつ・不安」「不機嫌・怒り」「無気力」の3つを測定しました。
恋愛希求グループと恋愛不要グループは恋愛グループよりも「無気力」が高く、「充実感」得点が低いことがわかりました。
つまりリア充はほんとに充実していると思えて、非リアは無気力で充実していないと感じているということ…
しかも恋愛を不要だと考えている人でもこの結果が現れるということは「恋愛は実際にやる気を出させてくれるし、充実感もくれるということ…」
恋愛すげえぇ
さらに男子で、恋愛希求グループは恋愛グループよりも「抑うつ・不安」が高かったのです。
つまり、先ほどと同じく恋人がほしいかどうかではなく、恋人がいるかいないかが重要で、精神的健康に影響があるということ
ちなみに「恋人がほしくなくていない」よりも「恋人がほしくていない」ほうが欲求不満で精神的に不健康な気がするじゃないですか。
実際にこの研究でも男子限定で「抑うつ・不安」でその傾向がありました。
つまり男子は恋人がいるかいないかはメンタルに大事っぽいってことです
個人主義との関連
個人主義は2点を測定しました。
①「主張」自分の考えをしっかりもち、それを主張できること
②「独断性」自分の考えを最善であると考え、他者からの意見を受け入れないこと
その結果はこうなりました!!!
- 恋愛グループ
「主張」は高く、独断性は低い
- 恋愛希求グループ
「主張」も「独断性」も低い
- 恋愛不要グループ
「主張」は中程度、「独断性」が高い
つまり「恋人がほしいんだけどいない人」は自分の考えがなく、またあっても主張できない
また「恋人がほしくない人」は自分の考えを正しいと思う気持ちが強く、自分のからにこもっていたり、「自分の正しい考え」を「相手に合わせる」ことが嫌なのではないかって感じですな。
ここまでをまとめて以下のように述べられていました
恋愛不要群とは,日常生活で無気力であることが多く,充実感もあまり感じられておらず,また自己の斉一性・連続性や他者からみられている自分と本来の自分との一致感によるアイデンティティの感覚もあまり感じられていないが,自分の意見・考えを最善であると考えている青年の一群であるとまとめられる。
僕は割と最近まで恋愛不要グループだったところがあるので、これは非常に耳が痛い。。。
恋愛に興味ない理由
恋人を欲しいと思わない理由については
大きく分けて2つ、細かくみると9個のカテゴリーに分類されていました
(1)恋人のデメリット
①現状維持がいい(いなくても楽しい、今は友達と遊んでいる方が楽しい)
②嫌なイメージ(めんどくさい、しんどい、つかれる)
③リスク回避(自分の時間が減る、お金がかかる)
④自分優先(自分のやりたいことは今やりたいから、自分のことで手一杯だから)
⑤傷つきを抑える(自分も他人も傷つけたくない、前の恋人を引きずっている)
(2)恋愛に対する意欲や準備ができていない
⑥準備できてない(異性と接する機会がすくない、付き合い方がわからない)
⑦親密関係構築への障害(他人を信じていない、理解し合うには限界がある)
⑧成り行き志向(好きな人がいない、そのうちできる)
⑨恋愛指針のなさ(恋人とは何かわからない)
めちゃくちゃ種類は多いですけど、納得というか「こういう人いそう」って思えるものが多かったので、実際に多いってことですね…
ただ(2)の人たちは潜在的に恋愛をしたいようにも思えるというか、とりあえず恋愛を経験して見たら変わる可能性高いんじゃないかなって思います。
今日のまとめ
・大学生の2割は恋愛に興味ない。
・恋愛に興味ない人は「無気力」「充実感が低い」「アイデンティティが不安定」「自分の考えを正しいと考えがち」なとネガティブな部分がある。
・理由は超様々…
終わりに
今回の研究を見てわかるように恋人がいるということは人生においてとてもポジティブな影響を与えてくれるんです。もちろん恋愛に興味がないのに「意味があるなら恋愛するか」みたいなことはしないほうがいいと思いますが、恋愛にネガティブな印象をもって恋愛をしたくないという人は恋愛をしてみると意外と恋愛の良さに気づけるかもしれません。
僕は以前付き合っていた人と別れたあと、ずーっと恋愛にネガティブなイメージがありましたが最近失恋の気持ちも落ち着いてきて、好きな人ができたら付き合ったりしたいなと思えるようになってきました。
こうやって「恋愛観」は結構変わるものだと思いますので今、恋愛に興味がなくても焦る必要もないと思います。2割の人は恋愛に興味がないんですから。
参考文献
髙坂康雅(2011).“恋人を欲しいと思わない青年”の心理的特徴の検討 青年心理学研究, 23,147-158.