失恋後の葛藤や不安を和らげる方法が判明した件
「彼氏（彼女）に振られた」「片思いの人に恋人ができた」など失恋をしてしまったときに様々な葛藤や苦しみを味わうことになります。
けれど「どうしたらその痛みは和らげることができるのでしょうか」
また「失恋でめちゃくちゃ落ち込む人とそうでない人の差」はどこにあるのでしょうか？
というわけでそんな疑問に答えた研究を紹介します。
前回も「失恋からの立ち直る方法と、その後の成長」についての研究を紹介していますのでこちらも見てみてください。
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東洋大学の加藤司教授の2007年の研究
この研究は「失恋をどう思ってるか」と「失恋にどう対処したか」がその後の心理的な葛藤や不安にどう影響があるのかを調べた研究です
専門学生、大学生を対象に最もつらい失恋経験が「カップルの別れ」であった265名と「片思い」であった242名の計507名を対象に調査しました。
失恋に対する対処を３つに分類！
①ポジティブ対処（積極的にその関係を改善し、より良い関係を築こうと努力する、相手のことをよく知ろうとした、積極的に話をするようにした）
②ネガティブ対処（関係を放棄、崩壊するような方法で、話をしないようにした、相手を悪者にした）
③解決先送り対処（時間が解決するのを持つようなもの、自然の成り行きに任せた、気にしないようにした）の３つ！
失恋の形式による差
片思いの「失恋」と「カップルの別れ」の失恋を比較したところ
「片思い」より「カップルの別れ」のほうが失恋を「脅威・喪失」であると考え、さらに「ポジティブ対処」の使用頻度が高いことがわかりました。
また「カップルの別れ」は男性より女性は「解決先送り対処」使用頻度が高いことが分かりました。
親密な恋愛関係は他のものでは代わりがきくようなものではないため、「片思い」に比べて「別れ」は大きな「脅威・喪失」と感じます。そのため、失恋以前に戻りたい気持ちが強く、関係を取り戻そうとする。
つまり、ポジティブ対処をより多く使うのだと思います。
「失恋をどう思っているか」と「失恋後の不安や葛藤」との関係
失恋を脅威・喪失であると考えるほど、その後の心理状態が悪く、不安や葛藤がある傾向がありました。
ただ、その傾向は強くはありませんでしたので、「必ず絶対そう！」というわけではなさそう。
ただ、失恋を怖がる人ほど失恋したときに悩まされることになるからといって「失恋を恐れなければいいんだ！」とはなりませんからこれはどうしようもないと思います。
失恋への対処方法
ポジティブ対処
失恋はもう戻ることはできないどうしようもない状況であり、それをわかっているのにもかかわらず、関係を何とか継続しようとする行動。
これは当然、無理があるため、むしろ失恋の傷からの回復期間を長引かせ、心理的ストレス反応（抑うつ、不安、混乱）が高いことがわかりました。
ただこれも影響力がそんなに強いわけではありませんでした。
ネガティブ対処
失恋相手を積極的に避けようとする方法ですが、崩壊してしまった状況にもかかわらず失恋相手を避けようとする行為は、むしろ失恋相手に対する執着になってしまいます。つまり、「ネガティブ対処」は失恋という問題に固執し、コントロール不可能な状況を何とか解決しようとする方法なのです。
そのためネガティブ対処をすると回復期間が長くなり、心理的ストレス反応（抑うつ、不安、混乱）が高く、孤独感も強まることがわかりました。
「ネガティブ対処」をすることは失恋後のメンタルに最もネガティブに働くものだったので、失恋したときにこの方法をとるのだけはやめたほうがいいです。
解決先送り対処
「解決先送り対処」は積極的に状況を変えようと働きかけるのではなく、失恋相手を諦めて、時間が解決するのを待つようなもので問題を回避するもの
このような方法は失恋後の適応状態が良好で、特に回復期間を短縮する効果が見られました。
つまり失恋したときには「解決先送り対処」を行うといいのです。
これは以前紹介した失恋からの回復方法でも一貫して示されていることで、かなり信用できる結論だと思います。
まとめ
・失恋は「片思い」よりも「カップルの別れ」のほうがしんどい
・だから関係を修復しようとしちゃって失敗しやすい
・女性は賢くて、「先送り対処」を使うから立ち直りが早い
・失恋を脅威と考える人はそのあともしんどくなる人
・ポジティブ対処は良くない！ネガティブ対処はもっと良くない！
・元恋人にとらわれちゃダメ！
・失恋をしたときには、「他のことに集中」「新しい恋をする」「友達と遊ぶ」みたいな方が立ち直りも早く、心身の健康に良いですよ！
失恋に関する研究の紹介は他にもありますので興味を持った方はぜひ。
参考文献
加藤司 2007 失恋状況における認知的評価とコーピングが失恋後の心理的適応に及ぼす影響 東洋大学社会学部紀要,45,123-137
